急転直下、『天国と地獄』


9月30日の日曜日と言えば台風24号が本土接近中で、私は家人と6時の待ち合わせのため、5時頃バスで渋谷に向かったのだが、渋谷に着くと、「東急東横店は本日、台風接近のため、午後6時をもって閉店します」とアナウンス。同じく、JR各線ともに午後8時以降運休という知らせが。


駅地下のフードショーには人が集まり、各店舗ともに<在庫一掃セール>を展開中、私とて、こういうときには家人とSNSを用いての相互連絡を行うもので、家人からは5時半の時点で、地下鉄の銀座あたりを通過中というメッセージ、私は6時までに<弁当でも買っておくか?>という返しを。


このやりとりが意味をなさないような行動を私はとり、渋谷の地下街から通路を通り、井の頭線のホーム下に位置する啓文堂書店に移動した。この時点で5時45分、そこで<奇跡の出遭い>をすることになった。文庫本の新刊コーナーで目を疑うような本に出遭う、『泥棒はスプーンを数える』?ううううっと、<泥棒は・・・・>どこかで聞いたフレーズだな、え、ひょっとしてR,ブロック?ありゃ、そうみたい、え?え?え?


もう、著者ローレンス・ブロックの新作には巡り会えない、と勝手に思い込んでいた。でも、しかし、ひょっとして、とずーっと、二見文庫(ブロックの著作は、この出版社から発行されていた)とハヤカワ文庫のコーナーはチェックしていた。しかし、今度は集英社文庫、訳者が田口俊樹さんなので半分、ホッとして。


原作は2013年にアメリカで刊行されていた。しかし、版権料が高かったのか、二見書房が二の足を踏んでいたのか、その点は明らかではないけれど、とにかくブロックの新刊が日の目を見たことに感激。ブロック節は相変わらずで。


主人公は書店経営の傍ら、泥棒も生業としているバーニー・ローデンバー、バーニーの親友で犬の美容師をしているレズのキャロリン・カイザー、この二人の会話がメインとなり、話の膨らみを担当するニューヨーク市警刑事のレイ・カーシュマンが絡む。これだけで、満腹、そういう作品。


作品中の会話の中に、エド・マクベインの87分署シリーズの登場人物が語られ、私は作品を読み終えると(今回は右目の状態は決してよくはないのに、久しぶりに一晩で読み終えました)、エド・マクベインのことを考え、シリーズのなかの『キングの身代金』を黒澤明が映画化し、『天国と地獄』、たまたま、ネットで黒澤明の特集をやっており、見てしまいました。